「日本の自画像」—
写真が描く戦後 1945-1964
2009年5月2日~6月21日 世田谷美術館 1階展示室
1945年の太平洋戦争の終結から1964年の東京オリンピック大会開催までの20年弱の期間で、日本社会は劇的な変動を経験し、写真界もまた活発な展開の中で新たな表現を模索しました。
激動の時代の中で、ドキュメンタリー写真は、敗戦直後の破壊と荒廃の悲惨さに向けていた視線を、次第に、時代を生き抜く人間の意思へと転じ、焦点を合わせていくことになりました。
1950年代中頃まで、日本は伝統と近代化という矛盾に満ちた岐路に立たされていましたが、すぐれた才能のある写真家たちは、その時代の都市と地方の様相を不朽のイメージとしてとらえていきました。
やがて経済的にも自立し復興の気配がみえるにつれて、写真もまた新しい可能性を求めて、さまざまな表現が試みられました。
本展は、戦後日本の写真界を代表する石元泰博、川田喜久治、木村伊兵衛、田沼武能、東松照明、土門拳、長野重一、奈良原一高、濱谷浩、林忠彦、細江英公がとらえた作品から、写真の作品的な価値とその表現する内容が、いかに時代をよくとらえたかという観点で精選した170点のモノクロ作品で展観致します。本展は、世界に初めて紹介される戦後日本写真についての広範な考察であり、社会的な大変動に際して、日本人がいかに民俗としての強靭さと深い芸術的な才能を見せたかへのオマージュでもあります。(世田谷美術館HPより)
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世界を取り巻く「コスモポリタニズム」と「自国主義」野綱引きをアメリカの日本思想の研究者、テツオ・ナジタ氏は指摘している。
普遍的な価値による偏見に満ちた社会、歴史的な視点が欠落した社会。
今の日本はどちらもが猫の目のように都合によって主導権を取り合っているように思えてならない。
そんな時代にあって、戦後20年間にまさに「伝統と近代化」の中で必死にもがきながら、自らの価値観を模索していた歴史を今だからこそもう一度見直す必要があるのだと思う。